マイページへログイン
サポートトップ
よくある質問
ダウンロード
使いこなす

使いこなしのテクニックドラム/パーカッションの入力方法 ~実践編~ 準備編では、ドラムパート,ドラム楽器,ドラム譜について解説します。

この実践編では、複数ドラムパートの設定方法や、ドラム楽器ごとの設定方法などについて紹介します。

複数ドラムパートの設定は、例えば、STANDARD キット以外に SFX や Orchestra キットなど種類の異なるキットを同時に使いたい、あるいは、特定のドラム楽器を別のキットの音と差し替えて使いたい場合などに必要になります。また、演奏表現上、個々のドラム楽器のチューニングや機能を変えたい場合は、ドラム楽器ごとの設定が必要です。

複数ドラムパートの指定

通常、音源側には1つのドラムパート(MIDI ch=10) が設定されていますが、異なるドラムパートをもう一つ追加するには、通常パートになっているいずれかをドラムパートにするための設定が必要になります。

GS/XG 音源では以下のような設定で複数のパートをドラムパートにすることができます。

●「GS音源」の場合は、以下のエクスクルーシブメッセージを使用します。
F0 41 10 42 12 40 1x 15 mm sum F7   "USE FOR RHYTHM PART"
x の値 パートナンバー
1-9 Part1-9
0 Part10
A-F Part11-16
mm の値 マップの切り換え
0 通常のパートとして使用
1 MAP1
2 MAP2
sum チェックサム

Part9(CH9) をドラムパートにする場合を例にして、このエクスクルーシブメッセージを完成させてみましょう。

  1. Part9 の "x" の値は、上表から "9" となります。エクスクルーシブメッセージに入力すべき値は 16進数で "1xH" ですから、"19H" となります。
  2. 次にマップを選択します。Part10 (CH10) は MAP1 になっているので、2つめのドラムパートを設定する場合は MAP2 を選択します。上表から "mm=2" となります。
    このように異なるマップを選択しておけば、例えば、Part10(CH10) と Part9(CH9) のスネアのピッチやリバーブ センド レベルなどを異なる値に設定できます。逆に、同じマップを使うと、一方のパラメータ値を変更すると、他のドラムパートにも同じ値が反映されてしまうので注意が必要です。

これで、Part9(CH9) をドラムパートにするエクスクルーシブは次のようになります。

F0 41 10 42 12 40 19 15 02 sum F7   "USE FOR RHYTHM PART"

ABILITY / Singer Song Writerで入力する場合、sum(チェックサム)は自動計算されますので、ここでは求めていません。チェックサムの計算方法については「システム エクスクルーシブ メッセージの使い方」をご覧ください。

エクスクルーシブ入力ツールには、あらかじめこのエクスクルーシブが登録されています。このエクスクルーシブ入力ツールを使って上のエクスクルーシブを入力してみましょう。

エクスクルーシブ入力ツール の「GS 音源」に含まれている「ドラムトラックの設定」には、あらかじめ MAP2 を選択する "mm=2" が設定済みです。ですので、Part9(CH9) を指定する "19H" を十進数に直して入力してください。"19H" を十進数に直すと "25" になります。

エクスクルーシブ入力ツール

もし、同じマップを指定したい場合は、音源の一覧から「RolandSC」を選択して、この中に含まれている "[PRT]USE RHYTHM PRT" を使用してください。左側のテキストボックスにパートを指定する "19H=25" を、右側のテキストボックスにマップの値(Part10(CH10) と同じ MAP1 にする場合は "1"、MAP2 の場合は "2")を指定します。

エクスクルーシブ入力ツール

●「XG 音源」の場合、次の2つの方法があります。
  • ドラム/SFX に割り当てられているバンクセレクトとドラムキット(プログラムチェンジ)を指定すれば、そのパートをドラムパートにすることができます。
  • パートモードで任意の DRUM Setup を指定する場合は、以下のエクスクルーシブメッセージを使用します。
    F0 43 10 4C 08 nn 07 ss F7    "PART MODE"
    nn の値パートナンバー
    0-15,16-31Part1-16,Part17-32
    ss の値パートモード
    0通常のパートとして使用
    1DRUM(エディット不可)
    2DRUM Setup1
    3DRUM Setup2
    4DRUM Setup3
    5DRUM Setup4

    Part9(CH9) をドラムパートにする場合を例にして、このエクスクルーシブメッセージを完成させてみましょう。

    1. Part9 の "nn" の値は、上表から "8" となります。エクスクルーシブメッセージに入力すべき値は 16進数で "08H" となります。
    2. 次にパートモードで Drum Setup を選択します。デフォルトで Part10 (CH10) は Setup1 になっているので、2つめのドラムパートを設定する場合は DRUM Setup2 を選択します。上表から "ss=3" となります。
      このように異なるセットアップを選択しておけば、例えば、Part10(CH10) と Part9(CH9) のスネアのピッチやリバーブ センド レベルなどを異なる値に設定できます。逆に、同じセットアップを使うと、一方のパラメータ値を変更すると、他のドラムパートにも同じ値が反映されてしまうので注意が必要です。

    これで、Part9(CH9) をドラムパートにするエクスクルーシブは次のようになります。

    F0 43 10 4C 08 08 07 03 F7    "PART MODE"

    エクスクルーシブ入力ツール の「YamahaMU2」に含まれている "[PRT]PART MODE" を選択します。左側のテキストボックスにパートを指定する "8" を、右側のテキストボックスに Drum Setup の値 "3" を指定します。

    エクスクルーシブ入力ツール

    NRPN でドラム楽器のパラメータ値を設定する場合は、このパートモードで DRUM Setup1-4 のいずれかに設定されている必要があります。

このようにドラムパートのセットアップができたら、各ドラムパートで使用するドラムキットを指定しましょう。

ドラムキットの指定

ドラムパートに設定したパートに Program Change を使ってドラムキットを指定します。GS 音源、XG 音源の場合、使用するキットにより以下のような設定も必要です。

●「GS 音源(SC-88Pro)」で、SC-55/88/88Pro マップを切り替えて使用する場合
SC-88Pro では Bank Select LSB [CC#32] を使って以下のマップを切り替えることができます。

Bank Select LSB [CC#32]=0 (SC-88Pro本体のパネルで選択されたMAP) [デフォルト]
Bank Select LSB [CC#32]=1 (SC-55MAP)
Bank Select LSB [CC#32]=2 (SC-88MAP)
Bank Select LSB [CC#32]=3 (SC-88ProMAP)

*他の GS 音源がいずれかのマップをサポートしているかどうかは、音源のマニュアルでご確認ください。

<設定例>
SC-88Pro を使って、SC-55 マップの STANDARD キット([PC#]=1)を使用する場合、以下のメッセージを入力します。
Bank Select MSB [CC#0]=0
Bank Select LSB [CC#32]=1(SC-55MAP)
Program Change [PC#]=1
●「XG 音源」で、ドラム/SFX を切り替える場合,あるいは任意のパートをドラムパートにする場合
以下の Bank Select MSB [CC#0] で、ドラム/SFX を切り替えます。また、このバンクセレクトとプログラムチェンジ(ドラムキットの指定)を通常のパートに送ると、そのパートはドラムパートになります。

Bank Select MSB [CC#0]=127 (ドラム)
Bank Select MSB [CC#0]=126 (SFX)

<設定例>
SFX Kit 1([PC#]=1)を使用する場合、以下のメッセージを入力します。
これらのメッセージを受信したパートは、ドラムパートになります。
Bank Select MSB [CC#0]=126(SFX キット)
Bank Select LSB [CC#32]=0
Program Change [PC#]=1

*トーンマップを使用すると、上記の設定が自動的に入力できます。

*GM 音源(GM System ON メッセージを受信した場合も同様)では Bank Select はサポートされません。Bank Select を使用する場合は必ず、音源の初期化メッセージに GS Reset(GS 音源) もしくは XG System ON(XG 音源)を使用してください。

ドラムキットの選択ができたら、いよいよ各ドラム楽器のセットアップを行います。

NRPN によるドラム楽器の設定

GS/XG 音源で、ドラム楽器個々のピッチ,レベル,パン,エフェクトセンドレベルなどを変更するには、コントロールチェンジ(以下 CC)メッセージの NRPN(ノン・レジスタード・パラメータ・ナンバー)、もしくは次項で紹介するエクスクルーシブメッセージを使用します。
NRPN は機器固有の機能を設定できるように設けられた拡張領域のため、NRPN を使って設定できる機能は共通とは限りません。どのような機能が NRPN で設定可能かはあらかじめ各音源のマニュアルでご確認ください。

GS 音源と XG 音源では設定可能なパラメータに相違がありますが、NRPN の設定方法は以下のようになります。

NRPN MSB [CC#99]ドラム楽器に設定するパラメータを指定します。
NRPN LSB [CC#98]ドラム楽器のノートナンバーを指定します。
DATA ENTRY MSB [CC#6]パラメータの値を指定します。LSB [CC#38] は無視されます。

パラメータ(NRPN MSB [CC#99])の中で、ピッチ・コース([CC#99]=24),レベル([CC#99]=26),パン([CC#99]=28),リバーブ・センド([CC#99]=29),コーラス・センド([CC#99]=30) などは GS 音源と XG 音源で共通です。

<設定例>

スネアドラム([Note#]=38)の"ピッチ"を +2半音に、"リバーブ・センドレベル"を 60 にするには、以下のメッセージを入力します。

NRPN MSB [CC#99]=24(ピッチ・コース)
NRPN LSB [CC#98]=38(スネアドラムのノートナンバー)
DATA ENTRY [CC#6]=66(+2半音の場合)
NRPN MSB [CC#99]=29(リバーブ・センドレベル)
NRPN LSB [CC#98]=38(スネアドラムのノートナンバー)
DATA ENTRY [CC#6]=60(60 の場合)

必要なパラメータの設定が終われば、誤動作防止のためパラメータナンバーをヌル(何もパラメータが選択されていない状態)に設定してください。

RPN MSB [CC#101]=127
RPN LSB [CC#100]=127

この設定により、RPN, NRPN には何もパラメータが選択されていない状態になり、意図しない DATA ENTRY を受信して設定値が変わってしまうような誤動作を防ぐことができます。

*GM 音源(GM System ON メッセージを受信した場合も同様)では NRPN はサポートされません。NRPN を使用する場合は必ず、音源の初期化メッセージに GS Reset(GS 音源) もしくは XG System ON(XG 音源)を使用してください。

ドラム楽器のパラメータを設定するには、NRPN だけでなくシステムエクスクルーシブメッセージを使う方法もあります。システムエクスクルーシブを使うと、NRPN には割り当てられていないパラメータ(アサイングループや Note Off メッセージの受信など)を設定することができます。

エクスクルーシブによるドラム楽器の設定

RolandSC, YamahaMU1/2 用エクスクルーシブデータ利用すると、エクスクルーシブ入力ツールからドラム楽器のノートナンバーとパラメータ値を指定するだけで、簡単に入力することができます。

入力手順は、
  1. 設定するマップあるいはセットアップ番号のついたパラメータ名(DRUM? で始まる)を選択する。
  2. 左側のテキストボックスに、設定対象となるドラム楽器のノートナンバーを入力する。
  3. 右側のテキストボックスに、パラメータの設定値を入力する。
と、なります。以下、具体例を見てみましょう。
●「GS 音源」(RolandSC)での設定例
MAP1 の クラッシュ・シンバル([Note#]=49) で、Note Off を受信できるように設定するには、左側のテキストボックスに [Note#]="49"を、右側に ON="1" を入力します。
エクスクルーシブ入力ツール
異なる MAP を設定する場合は、該当するマップ番号のついたパラメータ名 (DRUM? xxxxxx) を選択してください。
●「XG 音源」(YamahaMU2)での設定例
DRUM Setup1 の キックドラム([Note#]=36) で EQ BASS GAIN を最大(+12db)に設定するには、左側のテキストボックスに [Note#]="36"を、右側に "127" を入力します。
エクスクルーシブ入力ツール
異なる DRUM Setup を設定する場合は、該当するセットアップ番号のついたパラメータ名 (Drum? xxxxxx) を選択してください。

では最後に、これまでに述べた設定の具体例を紹介しましょう。

ドラム・セットアップデータのサンプル

このセットアップデータのサンプルは GS 音源用で、2つのドラムパートを設定し、いくつかのドラム楽器のピッチを NRPN で設定しています。ステップエディタで、1小節目(セットアップ小節)に含まれるドラムパートのセットアップデータ(特に、黄色線で囲んだ部分)に注目してみましょう。

Track17 <システムエクスクルーシブ>
Track17

  1. 曲頭に GS リセットが入っています。GS リセットは音源の初期化だけでなく、Bank Select や NRPN を受信するために必要です。
  2. Part11(CH11) をドラムパートにするためのエクスクルーシブ「ドラムトラックの設定」があります。 このデータの内容は、以下の通りです。
    F0 41 10 42 12 40 1A 15 02 sum F7

Track10(CH10) <ドラムパート1>
Track10

  1. Bank Select LSB で SC-88MAP([CC#32]=2) のドラムキット([PC#]=26)を選択しています。
  2. NRPN で 6つのドラム楽器のピッチ・コース ([CC#99]=24) を変化させています。
  3. NRPN の設定が終われば、RPN/NRPN ヌル(パラメータが選択されていない状態)にしています。

* NRPN に割り当てられていない機能を設定する場合は、エクスクルーシブで設定してください。

Track11(CH11) <ドラムパート2>
Track11

Bank Select LSB で SC-88MAP([CC#32]=2) のドラムキット([PC#]=2)を選択しています。