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使いこなしのテクニックエフェクターの基礎知識 ~グラフィックイコライザ~ 各パラメータの意味を理解して、サウンドに思い通りの効果をつけてみよう

グラフィックイコライザは、周波数を一定の割合の間隔で分割し、それぞれの帯域のレベルを変化させて、音質を調整するエフェクターです。GAINツマミを結ぶラインで、周波数特性を視覚的に確認しやすいのが特徴です。
Graphic Equalizer
ひとつひとつのつまみは、左下図のように山のような形をしており、隣の山と重なり合うようになっていますが、重なった部分のGAINを足すと山と山の間が滑らかにつながり、右下図のグラフィックイコライザのGAINとよく似た形になることが分かります。

[1]GAIN

日本語で「増幅度」の意味です。増幅度=1倍(増減無し)を0dB(デシベル)と定義し、-12dB~12dBまでの数値を設定することが可能です。

dB表記
-12dB
-9dB
-6dB
-3dB
0dB
3dB
6dB
9dB
12dB
倍数表記
0.25倍
0.36倍
0.5倍
0.7倍
1倍
1.4倍
2倍
2.8倍
4倍
%表記
25%
36%
50%
70%
100%
140%
200%
280%
400%

[2]中心周波数(CENTER FREQUENCY)

FREQUENCYは、日本語で「周波数」の意味です。
単位は「Hz」で、グラフィックイコライザの場合は各帯域の中心となる周波数を変更することはできません。
この中心周波数を自由に変更できるタイプのイコライザを、パラメトリックイコライザといいます。
例 : 2BandEQ または 6BandEQ でピーキングを選択したとき、やSonnoxEQ(Lo/Mid/Hi)

パートごとの周波数分布
左図はあくまで目安です。個人差や、楽器の個体差があります。また、倍音成分などを含めるともっと幅広い周波数帯に分布します。

一般的に20Hz~20KHzが人間の可聴範囲と言われており、その中でも、3KHz付近の音が一番聞きとりやすく、120Hz以下の低音や5KHz以上の高音は聞き取りにくいと言われています。

~50Hz
低音の振動に近い帯域。ほとんど耳には聞こえないが、下げすぎると迫力に欠け、上げすぎると圧迫感が出る。
50Hz~80Hz
音に重みを出す帯域。強すぎると透明度がなくなる。
80Hz~250Hz
低音の輪郭を出す帯域。下げすぎると低音がぼやけてしまう。
250Hz~500KHz
中音域の安定感を担う帯域。下げすぎると薄っぺらな印象を与えてしまう。
500Hz~800Hz
中音域のアタック間を出す帯域。音域のほぼ中心で芯になる。
800Hz~5KHz
中音域の高いアタック間を出す帯域。人間が一番聞き取りやすく、下げすぎるとシャープさを失う。
5KHz~10KHz
金属的なシャリシャリ感を出す帯域。下げすぎると鮮やかさを失う。
10KHz~
華やかさを出すのに必要な帯域。ほとんど耳には聞こえないので、少なめでもあまり不自然さを感じない。

[3]Q(キュー)

帯域幅を調整します。Qは、中心周波数を帯域幅で割った値で、中心周波数が固定なのでQの値を調整して帯域幅を変化させることができます。ABILITY/Sound it!のグラフィックイコライザでは1.0~20.0まで設定することができ、数値が大きいほど帯域幅は狭くなります。

Qの調整

Qの数値を大きくすればするほど、山の幅は狭くなり、操作している周波数付近のみを効果的に調整することができます。逆に小さくすると、その周波数を中心に変化を受ける周波数範囲が拡がります。

グラフィックイコライザでは、調整したい周波数が非常に狭い範囲で、各帯域の中心周波数(各ゲインツマミの周波数)からずれている場合は、Qの値を上げても大して効果が得られないことがあります。このような場合は、パラメトリックイコライザを使って、周波数(フリケンシー)を目的の周波数に設定し、Qの値を上げ帯域を絞ることで効果的に調整することができます。

ヒント
マウスでつまみを回す操作では、狙った数値が設定しにくい場合があります。つまみを右クリック (Macの場合は、[option]+クリック) すると、直接数値を入力することが可能です。

プリセットについて

あらかじめ用意されているプリセットを例に、どのように設定をすれば良いかを参考にしましょう。

Hi-Boost
プリセット:Hi-Boost
2KHz以上の高音域を強調したプリセットです。この帯域を強調することで音に華やかさ、鮮やかさを出すことができます。古いレコードなど、音がこもっているデータに対してこのプリセットをかけるとしゃきっとした音質になります。

TEL
プリセット:TEL
1KHzを中心に低音域、高音域をカットしたプリセットです。中音域を前に出すことで、電話のような効果を出すことができます。

ヒント
ABILITY/Sound it!では、自分で好みのプリセットを作成して保存することが可能です。 テクニカルサポートデータベース:「エフェクターのプリセットを作成したい」を参照して下さい。

[2]で説明している図「パートごとの周波数分布」の図を見ても分かるとおり、既にミックスされた音源の場合、200~600Hzの中音域には複数のパートの帯域が重なっています。例えば、ボーカルを前に出そうと思ってその付近のスライダーを動かしても、その帯域に含まれる別のパートの音も増減するので全体のバランスが崩れてしまう場合があります。他の楽器とのバランスも考慮に入れながら調整をおこなって下さい。

また、バランスを変えることによって全体の音量が大きくなりすぎて音が割れたり、逆に小さくなってしまうことがあります。インプット/アウトプットのつまみを使って全体の音量を調整して下さい。