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第5回 知っておきたい「メロディー作り」の掟
人が曲を識別する際の最もシンプルな決め手は「メロディー」です。
例えば、リズムパターンやコードが同じでも「違う曲」はありますが、メロディーが同じならそれは「同じ曲」です。

そんな重要なメロディーですが、実はメロディーはどんな形でも良いわけではなく、その作り方には知っておきたい色々な掟があるのです。

第2回のときもメロディー作りに関してレクチャーしましたが、今回は特に「歌もの」のメロディーを作る際に気を付けたいことについて話をしましょう。




まず、次の二つのサンプルを聴いてみて下さい。


メロサンプル5a

これは音符が続きすぎるので息を吸う「ブレス」ができません。
これを歌うのは相当な肺活量が必要でしょう。このようなメロディーは避けたいものです。


メロサンプル5b

今度は音域が広すぎます。
「5オクターブの音域を持つ・・・」などというキャッチコピーの歌手もいますが、普通の人ではこんな広い音域を歌うことはできないのです。



ブレスの「間」を考えたフレージングを心がける

歌ものでは「メロディーに休符を入れる」のを忘れないようにしたいものです。

休符は音符と同じくらい大事です。
休符はブレスをすることができるだけでなく、メロディーの切れ目をわかりやすくし、パターンを認識しやすくします。

試しに5aのフレーズからいくつかの音符を抜いて休符に変えてみます。


メロサンプル5c
(サンプルでは3-4小節目の休符を短めに演奏しています)

先ほどよりも曲がわかりやすく歌いやすくなったのが判るはずです。



音域を考えよう

楽器には演奏できる音域があるように、歌にも音域があります。
例えばピアノの音域は「7オクターブ強」、ギターは「3~4オクターブ」です。

しかし、歌にするためのメロディーはおよそ「1オクターブ半」が目安であり、できれば1オクターブに収まればなお良いのです。
これは多くの人が歌える音域がその程度だからです。

むろん2オクターブの音域を持つ曲もありますし、そういう曲が歌えることを含め音域の広さを「売り」の一つにしている歌手もいますが、多くの人に親しまれる楽曲は得てしてシンプルで音域はさほど広くないものです。

では実際にどのあたりを目安にすればよいのでしょう。
実際には歌手によって音域は異なりますが、一般的には男声、女声の音域は以下が目安になります。

ただし、男声はこのままの表記では楽譜が見づらいので、ポピュラー音楽では慣例的に1オクターブ上で記譜するのも一般的です。



歌いづらいメロディーは避ける

ブレスも考え、音域も考えた。

ではそれでいいかというと・・そうではありません。
実は楽器もそうですが、歌にも跳躍しづらい音程、要は「歌いづらい」音程があるのす。
そのあたりも避けるほうが懸命です。

むろん、これも超絶技巧を誇示したいのであればチャレンジしても構いませんが、あくまで「多くの人に親しまれたい」のであれば、特に日本語の楽曲では「歌詞を伝えるためのメロディー」を心がけるのが肝要です。

一般的には、半音での動きの連続や音程の離れた大きな跳躍はピッチがとりずらいものです。
ユニークなフレーズは作りやすいのですが、歌ものではやはり極力避けるほうが良いでしょう。

歌うには少々難しいメロディーを用意してみました。
是非歌ってみてください。





その他、メロ作りのコツ!!


「少し物足りない」・・が正解
名曲と呼ばれる曲を譜面にしてみると、意外とシンプルな曲が多いものです。
実はシンプルなメロディーというのは歌い手の個性が出やすく、また歌詞が素直に伝わるものなのです。

メロディーはドラマの台詞のようなものです。
メロを書いただけの状態は、まだ台詞が決まっただけに過ぎないのだと考えてもらえばよいと思います。
どんな役者がどういう表現で台詞を言うかによって受けて側の感じ方は変わります。

ですから、その表現の余地を残してメロを考えるのが得策といえるでしょう。

歌メロは歌って作るべし!!
歌ものを書くなら、鍵盤やギターでメロディーを作るのではなく、実際に自分で歌って作る方法をお勧めします。
そうすれば、無理な音域や音符の連続も避けることができますし、ニュアンスも掴みやすいので無駄な音符も使わなくなります。

また近年、業界の楽曲コンペでは、仮歌入りで応募するのが当たり前になってきています。
そういう意味でも、「歌もの」を作りたい人は自分で歌えるようにするか、できれば上手な歌い手さんの確保をしたいところです。

仮メロディーは仮メロディーらしく
どうしても楽器による演奏で「歌もの」のメロディーを伝えなければならない場合は、明らかに仮のメロディーであると判るように、目立つ音色で、敢えてニュアンスは付けずに収録します。
定番の音色はヴィブラフォン、アコーディオン、リコーダー、ハーモニカ、オカリナ、フルートなど。

この際、リバーブは軽めにしてあまりオケに溶け込みすぎないようにします。
これによってインストゥルメンタルではなく、あくまで仮歌の代わりにキーボードによるメロディーが入っている(キーメロといいます)状態であるということを周知させることができるのです。

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