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使いこなしのテクニックエフェクターの基礎知識 ~ノイズゲート~ 各パラメータの意味を理解して、サウンドに思い通りの効果をつけてみよう

ノイズゲートは、設定したレベル以下の音声を除去するエフェクターです。
設定したレベル以上の音量が入力された場合は何もカットしません。つまり、必要な音声が入っている部分に関しては、ノイズは残ったままということです。

それでは意味がないと思われるかもしれませんが、人間の耳には必要な音だけを自然に聞き分けることができる「マスキング効果」と呼ばれる不思議な効果があります。例えば比較的にぎやかなお店の中でも、友人との会話が楽しめるのはこの効果のおかげです。必要な音声が鳴っている場合、小さなノイズはマスキングされ聞こえにくいという効果を利用し、必要な音声の入っていない無音の部分だけノイズを除去するのがノイズゲートです。

ノイズゲートは、ノイズの種類を判別するのではなく、設定レベル以下の信号をノイズとみなすので、必要な音声とノイズとに大きく音量の差がある場合に有効なノイズ除去機能です。必要な音声とノイズの音の大きさが変わらない場合は、マスキングされないため効果はありません。

Noise Gate

[1]THRESHOLD(スレッショルド)

ノイズゲートでは、あるレベルを以下の音を除去しますが、その「あるレベル」を設定するのがこの「THRESHOLD(スレッショルド)」です。

最大音量を0dB(デシベル)と定義し、0.0 ~ -100.0dBまでの数値を設定することが可能です。数値を上げるほど、編集対象範囲は広くなり効果も大きくなります。

dB表記
-50dB
-40dB
-30dB
-20dB
-10dB
-6dB
-3dB
0dB
%表記
0.3%
1%
3%
10%
32%
50%
71%
100%

ここでは最大音量を0dBと定義していますが、エフェクターによって0dBの定義が異なる場合があります。

スレッショルドの設定とノイズ除去のイメージ

必要な音声が入っていない時の、ノイズの最大レベルを設定します。

[2]ATTACK(アタック)

スレッショルドで設定した値を超える音声が入力された場合、そこから急に音声が始まると、立ち上がりの遅い音声の場合は最初の部分が切れたように聞こえてしまいます。また同時に、突然ノイズも聞こえはじめるので、かえってノイズが目立ってしまいます。

アタックタイムを設定すると、スレッショルドを超えた地点から徐々にボリュームを上げていくフェードインのような状態になるので、急に音声が始まるという不自然さを解消することができます。0~20までの値が入力可能となっており、単位はms(ミリセカンド[ミリ秒])です。

[3]RELEASE(リリース)

スレッショルドで設定した値よりも入力レベルが低くなったとき、そこで急に音声を除去してしまうと、余韻の残る音声の場合、最後が急に切れたように聞こえてしまいます。また同時に、突然ノイズも止むので、かえってノイズが目立ってしまいます。

リリースタイムを設定することで、スレッショルドを超えた地点から徐々にボリュームを下げていくフェードアウトのような状態になるので、急に音声が途切れるいう不自然さを解消することができます。0.01~2.00までの値が入力可能となっており、単位はs(セカンド[秒])です。

アタックタイム/リリースタイム調整時のイメージ

アタックタイム、リリースタイムを調整することで、除去した波形の切り口をフェードイン/フェードアウトすることになります。立ち上がりが遅い音声や、余韻が残る音声に対してノイズゲートを設定するときに、最初や最後が途切れたように聞こえることを防ぎます。

以下の波形のように、立ち上がりの早い曲や、余韻なく終わる音声に対してアタックやリリースを設定すると、最初の部分、もしくは終わりの部分が除去されてしまい、かえって不自然に聞こえてしまいます。アタックとリリースは、立ち上がりが遅い音声や余韻の残る音声にのみ使用してください。

[4]HOLD(ホールド)

入力信号がスレッショルドレベルを超えて、ゲートが開いた状態を維持する時間です。頻繁にノイズゲートが作用して音が不自然に途切れて聴こえるような場合は、ゲートが開いている最小時間を、ホールドを使って調整してください。

[5]CONTROL(コントロール)

ステレオ信号の場合、左右チャンネルのゲートのタイミングを揃えます。片方のチャンネルにだけノイズゲートが作用して、左右の広がり感が不自然になってしまう場合はONにしてください。ステレオのデータにノイズゲートをかける場合は、ON(緑点灯)にしておいたほうが良いでしょう。

ヒント
マウスでつまみを回す操作では、狙った数値が設定しにくい場合があります。つまみを右クリック (Macの場合は、[option]+クリック) すると、直接数値を入力することが可能です。

プリセットについて

あらかじめ用意されているプリセットを例に、どのように設定をすれば良いかを参考にしましょう。

Type1

プリセット:Type1

スレッショルド-25dB(5.6%)以下の音声をノイズとみなし、それ以下のレベルの部分をフェードイン/フェードアウトしながら除去するプリセットです。立ち上がりの遅い音声、余韻の残る音声に適しています。

Type3

プリセット:Type3

低域から中域にかかる部分の重量感・存在感と、高域の金属的なシャリシャリ感を強調するためのプリセットです。

スレッショルド-50dB(0.3%)の非常に小さなレベルの音声をノイズとみなし、それ以下のレベルの部分をスパッと除去するプリセットです。立ち上がりの早い音声、余韻の残らない音声に適しています。

ヒント
ABILITY/Sound it!では、自分で好みのプリセットを作成して保存することが可能です。 テクニカルサポートデータベース:「エフェクターのプリセットを作成したい」を参照して下さい。